甲斐です。
もう一冊、演技の本というか、スタニスラフスキーに関する本を読みました。
スタニスラフスキーはロシアの演劇において、システムと呼ばれる演技理論を確立し、それがハリウッドの標準のメソッド演技として発展したという、演技理論の革命を起こしたような人ですね。
そして演技理論の構築において、インドのヨガの影響を大きく受けていたようなんですね。
ただ、共産党支配下のソ連では宗教が禁止されているため、科学的な言語で説明するために大変な苦労をしたようでした。
ヨガでは気のことをプラーナと呼ぶのですが、これを科学的なものとして再定義していたりするんですね。
興味深かったのは、プラーナを放射・吸収・交流するということがしっかりと理論としてあったということです。
俳優同士のプラーナの交流はその役にとって自然ですが、演劇として成立させるには、観客にもその臨場感を伝えないとならない、また、脚本上、一人喋り、モノローグがある時も問題で、これは役が生きていたとしても絶対やらない行動なんですね。
そこに説得力を持たせるために、観客へのプラーナの放射や、自分とのプラーナの交流を課題として意識していたんです。
自分との交流の仕方もユニークで、自分の胸に聞くんですね、中丹田、アナハタ・チャクラとの交流によって、モノローグをするんです。
つまり、身体意識がコミュニケーションの対象となるということなんですね。
演技の世界も深くて面白いですね。